2024年の推し本

この記事は2024年の”推し”本 Advent Calendar 2024の20日目の記事です。

2024年のおすすめ推し本を3冊紹介します。

推し本

『Science Fictions あなたが知らない科学の真実』 スチュアート・リッチー

科学と聞くと、丁寧に研究され、論文にまとめられ査読も受け、効果や未解明の点が明確に説明されているイメージがあります。さらに、誤りは反証され、研究結果は常にアップデートされているため、最新の研究は信頼できるものだと考えていました。

しかし、この本を読むとそのイメージが崩れます。研究不正が存在し、意図的に効果がなかったものを効果があるとするケースや、間違いに気づかずに誤った研究成果が公表される場合もあることが明らかになります。功績のために悪事を働くわけではない場合でも、研究の信頼性は必ずしも保証されていないのです。もちろん追試は行われますが、すべての研究が追試されているわけではなく、再実験が難しい場合も多々あります。したがって、すべての論文や研究結果を鵜呑みにするのは危険だということが理解できます。

科学の裏側や真実に興味がある方にぜひおすすめです。

Science Fictions あなたが知らない科学の真実

『ピープルウェア 第3版』 トム・デマルコ

今年から始めたreadline.fmで、トム・デマルコの著作を全て読むことに挑戦しました。日本語に翻訳されている8冊のうち、特に『ピープルウェア』が一番おすすめです。

この本の主題は以下の通りです。

実際のところ、ソフトウェア開発上の問題の多くは、技術的というより社会学的なものである。

ソフトウェア開発において、技術力の不足よりも、適切なメンバーの確保や働く環境の整備、計画の正確さなど、社会的な要因が成功や失敗に大きく影響することが多いとされています。実際に、技術的な問題以上に社会的な課題に直面したプロジェクトを見たことがあり、この本が初版発行から30年以上経ってもなお、その問題が解決されていない現実を見ると、デマルコの洞察がいかに的を射ていたかを実感します。発売から年月が経過していますが、今読んでも色褪せない内容が豊富に詰まっており、非常におすすめです。

ピープルウェア 第3版

『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』 橋本麻里 & 山本貴光

この本は最近発売されたもので、山本貴光さんの活躍は哲学の劇場や多数の著作を通じて知っていました。彼が自宅を図書館として建てているという話を以前、雑誌の記事で見たことがあります。

橋本麻里、〈森の図書館〉と呼ぶ住居で5万冊の本と暮らす | ブルータス | BRUTUS.jp

現在、私の自宅には2000〜3000冊ほどの本があります。本棚に収まりきらず、机の上にはタワーができ始めています。大量の本とどのように付き合っていくか参考にできないかと思い、この本を手に取りました。実際に、この本では数万冊の本を収納する建物の設計や、どのように暮らすかについて詳しく述べられています。また、九州大学の図書館で使用されていた本棚を再利用しているエピソードも紹介されており、こんな家に住んでみたいと思える内容が満載です。

特におすすめしたいポイントは、大量の紙の本にこだわる理由や、空間に書物を配置する意味について深く掘り下げている点です。これらのテーマに強く共感できるため、ぜひ読んでほしいです。この記事を読んでいる中にも、紙の本を大量に購入して積んでいる方は多いと思います。

将来的には、5千冊ほどの蔵書を保持して暮らせる空間に住むことができたら素敵だと思います。

図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり

まとめ

紹介した本を購入して、自分だけの積読タワーを作りましょう!