ワインバーグの本に出てくる好きな法則:ボールディングの逆行原理

この記事は、ワインバーグさんにまつわる Advent Calendar 2025 - Adventar の2日目の記事です。

ワインバーグの本にはたくさんの原理・法則が紹介されています。どれぐらい紹介されているかというと日本語版Wikipediaに大量に紹介されるぐらいにはいっぱい出てきます。ジェラルド・ワインバーグ - Wikipedia

ボールディングの逆行原理とは

自分が特に好きな法則は「ボールディングの逆行原理」という法則です(正確には原理なのかもしれないが法則の項目にあるので許して)

この法則の内容は以下の通りである

ものごとがそうなっているのは、そうなったからだ。

たったこれだけ。

この法則は『コンサルタントの秘密』の「第4章そこにあるものを見る方法」という章で登場する。

この章では、次のような寓話が紹介されています。

夫人がおいしいパン焼いて数人に食べさたところ、おいしいという評判で人気になりどんどん生産量を増やしビジネスになった。生産量を増やした結果、販路を広げて前日にパンを焼いて翌日に配送するような仕組みを準備する必要なり、パンには防腐剤を入れ生焼けのような状態でパンを焼くことになっていった。これは最初に夫人が焼いたパンとは大きく異なったものであまりおいしいパンとは言えないようなものだった。そのパンを食べたスパークスというコンサルタントは夫人がどのようにパン屋を大きくしてきたのか歴史を知らずに現在だけを見て、なぜパン屋なのに真っ当にパンを焼くことができないのかと批判した。

それに対してワインバーグは以下のように言っています。

たいていの人は、スパークス同様、歴史を調べるにはあまりにもせっかちである。だからこそコンサルタントにとっては歴史を調べることは他の人が見落としたことに気づくためのよい方法なのだ。歴史を調べることによってコンサルタントは、誤りを回避し、見逃されたらチャンスをつかみ、前にうまく言っていたものを温存し、効果がなかったものを変えるための方法を知ることができる。

『コンサルタントの秘密』共立出版 P.63

問題解決をするうえで目の前の問題がどのような過去があるのか、過去に問題を解こうとした人がどのような失敗をしたのかを把握しておく必要がある。そうしなければ誤った解決策をとってしまうのである。

実際に自分も同じくことをよくやってしまう。仕事でソースコードを読んでいるとなぜこんな複雑な処理をしているんだろうかなど疑ってかかることがよくある。無駄な処理を削除して直そうとしてプルリクエストを作成するとCIがコケたり、コードレビューでそこを変更するとあっちこっちに影響がありそれも合わせて直さないといけないよと言われたことがある。まさに「ものごとがそうなっているのは、そうなったからだ。」という体験をした。

普段からこの法則を意識するだけで問題に飛びつかず、問題がどこから来て、その問題は誰の問題なのか、解く価値があるのかと自分に問いかけることができるようになる。

この法則を心に刻んでおきたい。