『うつ白 ~そんな自分も好きになる~』を読んだ

うつ白 ~そんな自分も好きになる~

内容紹介

一般社会においても増加傾向にある“うつ病”。近年、うつ病に苦しみ、社会生活を送れない人も増えている。
うつ病はスポーツ界においても例外ではなく、2018年にはヴィッセル神戸の世界的スーパースターであるアンドレス・イニエスタもうつ病に陥った経験があることを激白した。
ただ、日本においては認知や環境が整っていないのが現状で、スポーツ界においてはなおさらであるため、オーバートレーニング症候群や慢性疲労症候群と診断して明言を避ける傾向にあり、うつ病であることを告白するアスリートは少ない(ほぼいない)。
そうした中、双子のJリーガーとしてサンフレッチェ広島一筋でプレーした森﨑和幸・浩司のふたりが、現役引退を機に、たびたび苦しめられてきたうつ病について、日本人アスリートして初めて、(元)Jリーガーとして初めて、自らの言葉でうつ病を告白する1冊です。
2020年に東京オリンピックを控えて、オリンピック候補選手たちは、国民の大きな期待とプレッシャーにさらされている。また、プロスポーツ選手も、ファンからの期待、成績と報酬(生活)の関係、短い選手生活ゆえの引退後のことなど、日常的にプレッシャー(ストレス)を抱えていると思われる。
また、学生スポーツ・会社に所属しているスポーツ選手なども、それぞれの試合や記録に対して、オリンピック候補選手やプロスポーツ選手と変わらないプレッシャーを感じている人もいる。
もちろん、さまざまなプレッシャーをモチベーションに変えていく(いける)選手(アスリート)が多いとは思うが、認知や環境が整っていない日本では、うつ病であることを公表できす、1人(身内のみ)で苦しんでいるアスリートも一定数いるはずである。
アスリートに限らず一般人も、そもそもプレッシャー(ストレス)の感じ方は、周りの人間から判断するものではなく、個々人の内面の感じ方であるが、今回、元Jリーガー(プロスポーツ選手)であったふたりが、現役時代の心の病との付き合いを正直に告白することで、日々苦しんでいるすべての人に、勇気やヒントを与えられる可能性を期待している。

第1章 森﨑和幸 ≪うつ病≫を発症する契機となった小さな不安
第2章 森﨑浩司 オーバートレーニング症候群も心の病
第3章 森﨑和幸 J2に降格させてしまった使命感
第4章 森﨑浩司 何度も死にたいと訴えた地獄の日々
第5章 森﨑和幸 比較され続けたことで強くなった自意識
第6章 森﨑浩司 少しだけ自分自身をほめてみる
第7章 森﨑和幸 やめようから、やめるに変わったとき
第8章 森﨑浩司 もう二度と落ちないために踏みとどまる
第9章 森﨑和幸 もう二度とならないではなく、また必ずなる
第10章 森﨑浩司 しんどい自分も好きになる

openbd より引用

感想

サンフレッチェ広島の試合を初めて見に行ったのが 2000年ぐらいだと思う。そのころからサンフレッチェ広島を全試合ではないが気になって度々試合を見ていた。そう考えると20年ぐらいのライトサポーターである。

ちょうどサンフレッチェ広島を見始めた頃にプロ選手になったのがこの本の著者である森崎和幸と森崎浩司である。森崎兄弟はサンフレッチェ広島でプロの選手になり、サンフレッチェ広島で選手生活を終えた。一度も別のチームのユニフォームを着ることなく10年以上のキャリアがある選手というのはとても稀である。

そんなサンフレッチェ広島の中心にいた選手であるので応援する側もとてもとても期待をする。森崎浩司には得点に絡む活躍を、森崎和幸には読みの鋭さと正確なパスを。とても高い技術力に定評がある二人なので自分はプレイを見ていて、良いプレイをすれば拍手を贈り、ちょっとミスをするだけでため息をしたりしていた。

森崎兄弟が病気になったのはクラブのプレスリリースや、インタビューで知ってはいた。引退してからもインタビューを読んだので病気については知ったつもりでいた。しかしこの本を読んで思ったのは、選手としてフィールドでプレイできるのが奇跡であり、ボールを蹴ることができるのがいかに大変だったのかを思い知った。自分が選手に対してミスをしたことに対して怒りや呆れのような感情を抱いていたのがとても恥ずかしくなった。

もちろんプロの選手であり、ピッチに立っている以上そのように見られるのは仕方ないのであるが、一人の人間として見たときに幾度の病気を乗り越えて本調子でもないなかプレイをして、サポーターの期待に応えようとしていることを考えると難しいものがある。

この本はアスリートの選手が決してメンタルが強いわけではなく、メンタルの問題とどのように付き合っていくべきなのかという本である。なので日頃自分の気持ちとどのように付き合うと生きやすくなるか参考になる本でもある。特に、この本でできなかったを責めるのではなく、できたことを褒めてあげようという考え方はとても共感できた。毎日毎日うまくいくことばかりではないので落ち込むこともあるが、そのときは今日できたことを数えて自分を褒めてあげたい。

最後に、森崎和幸、森崎浩司、二人とも優勝を見せてくれてありがとう。長い選手生活お疲れ様でした。そしてこれからのCRM、アンバサダーとしての仕事を通してまたサンフレッチェ広島を一緒に盛り上げていきましょう。